言語聴覚士ってどんな職業?
言語聴覚療法士(ST)とは
言語聴覚療法とか言語聴覚士と聞いてピンとこない方もいらっしゃるでしょう。「言語聴覚士/英: Speech-Language-Hearing Therapist(以下ST)」が国家資格となったのは1999年のこと。日本では比較的新しい専門職です。
STは一言でいうと「言葉によるコミュニケーション障害や摂食嚥下(せっしょくえんげ)障害について機能の維持・向上を図り、その対処法を見出すために検査・評価を行い、訓練・助言・指導などの援助をする」職業です。言葉によるコミュニケーション障害は、言葉の発達の遅れや聴覚(聞こえ)の障害、音声・構音(発音)の障害、失語症など、小児から高齢者まで幅広く見られます。STが活動する場も医療機関だけでなく、保健・福祉機関、教育機関、介護施設などさまざまな領域があります。
総合的なアプローチが可能
当法人のような脳神経外科、神経内科、リハビリテーション科を置く医療機関では病気や頭部外傷の後遺症として言語障害を持つ方が多く来られます。こうした方々に対して、急性期、回復期そして必要に応じて退院後もSTが介入し訓練・援助をしていきます。
また、言語以外の高次脳機能障害(記憶障害・注意障害など)を合併することもしばしばありますので、必要に応じて高次脳機能障害の訓練・助言・指導も行います。一方で脳卒中発症後、むせて食べられなくなる方もおられます。多くは一過性の症状ですが、中には回復に時間がかかる方や回復が難しい場合もあります。こうした嚥下障害に対処するのもSTの重要な役目です。嚥下障害に対してはSTだけでなく多くの職種が関わりますが、重度嚥下障害に対してより専門的な知識を持っていることと、コミュニケーション障害の専門家として音声・構音機能や高次脳機能も含めた総合的なアプローチができることがSTの強みと考えています。
地域における役割
近年、超高齢化社会に伴い認知症の方が増えてきています。STは従来からも専門の医療機関で認知症の検査や家族指導を行ってきましたが、今後はそれに留まらず地域での役割が求められようとしています。また最近、介護老人保健施設、デイケア、訪問リハビリなどの介護分野で働くSTも増えてきました。これからはさまざまな場所で、STによることばや摂食嚥下の問題に対する支援ができればと思います。
(2015.11発行│広報誌「甲友会ナウ」No.31より)
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当法人、施設・事業所のセラピストの取り組みについて、下記でもご紹介しています。