ホーム > KOYUKAI FRIENDS > 特発性正常圧水頭症について

KOYUKAI FRIENDS

特発性正常圧水頭症について

 

頭蓋骨の内部には、脳のすき間を循環する脳脊髄液(のうせきずいえき)が存在します。脳脊髄液は産生と吸収をくりかえして、常に新鮮な状態で存在しています。特発性正常圧水頭症とは、加齢で脳脊髄液を吸収する機能が衰えてその量が増え、頭蓋内部の圧力が慢性的にやや高くなることで、歩きにくくなる、物忘れ、尿漏れ・尿失禁などの症状を呈する状態のことをいいます。

 

 

 

症状について

  • 歩行障害

歩幅が小さい、すり足、両脚の間が広くなるという特徴があります。特に難しくなるのが方向転換です。病気の初期には、歩行中、急に前方へ突進してしまい転倒しやすくなることがあります。歩行障害が進行すると立ち上がれなくなり、移動に介助が必要となります。

 

  • 認知機能障害

病気の初期では記憶力の低下は軽度ですが、思考速度が遅くなる、やる気の減退などがみられます。進行すると全般的に認知機能の低下がみられるようになります。

 

  • 排尿障害

尿意を感じた後に我慢することができず、頻尿になり、尿漏れ、尿失禁がみられるようになります。

 

 

 

治療法・認知症との関係性について

特発性正常圧水頭症はシャント手術が主な治療法です。これは、脳脊髄液の一部を腹腔内(腸のまわり)に持続的に排出する細い管を、頭部から腹腔内、もしくは腰の脊髄神経の周囲から腹腔内に向かって皮膚の下に通す手術です。手術で大きな合併症が生じる危険は小さく、高齢の方に対しても比較的少ない負担で行うことができます。

 

特発性正常圧水頭症は社会の高齢化により発症数が増加しており、兵庫県西宮市の規模で年間600人程度と推定されています。また、認知症の方の約9%がかかる病気であるという報告もあり、治療が可能な認知症の一つとして注目されています。

 

早期にシャント手術を行う方が、より治療効果が高いとされていますので、前述の症状に心当たりがある方は、早めに脳神経外科を受診し、相談していただくことをおすすめします。

 

 

(2023.05発行|広報誌「甲友会ナウ」vol.61より)

ページの先頭へ


メニューを閉じる