知っておきたい!地域包括ケアシステムとは〜健康の維持・向上について〜
西宮市瓦木在宅療養相談支援センター、所長の松平康子です。
皆さんは「地域包括ケアシステム」という言葉を耳にされたことがありますか?これは、厚生労働省が、地域(市町)に必要だとした、支え合いのシステムです。このシステムの「支え手である〈あなた〉=市民や支援者の皆さん」に、地域包括ケアシステムについて知っていただきたく、私の経験を踏まえながら3回シリーズでご紹介したいと思います。
第2回目の記事では、「健康寿命」についてお伝えしました(詳しくは「知っておきたい!『地域包括ケアシステム』とは〜健康寿命を延ばそう〜」を参照)。第3回目は、「健康の維持・向上」についてご紹介します。
健康の定義
皆さんは、「健康」という言葉からどのような状態を連想されますか?世界保健機関(WHO)が作成したWHO憲章では、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」(日本WHO協会訳)と定義されています。肉体だけでなく、精神的・社会的にも良好な状態が必要なことは、健康を考える上で大きなポイントです。
多様な価値観をもった人が共に生きていく現代においては、健康に対する捉え方も一様ではありません。たとえ医療や介護が必要になっても、互いを認め、支え合いながら住み慣れた地域で健康に暮らしていくための仕組みである地域包括ケアシステムは、今まさに必要だと言えるでしょう。
こころの健康
さまざまな制限やモラルの変化をもたらしたコロナ禍は、人々の身体面だけでなく、精神面・社会面にも大きな影響を及ぼしているのではないでしょうか。例えば、身体面は問題がないようでも、精神面・社会面が良好でなければ健康とは言えません。いわゆる「こころ」を健全な状態にすることが大切です。
- 自分の感情に気づいて表現できること(情緒的健康)
- 状況に応じて適切に考え、現実的な問題解決ができること(知的健康)
- 他人や社会と建設的でよい関係を築けること(社会的健康)
- 人生の目的や意義を見出し、主体的に人生を選択すること(人間的健康)
(厚生労働省 健康日本21「休養・こころの健康」より)
こうしたことはQOL(生活の質)にも大きく影響しますから、肉体面と同様に重視し、ケアする必要があります。
健康を維持・向上するために
前回記事(「知っておきたい!『地域包括ケアシステム』とは〜健康寿命を延ばそう〜」)では、生活習慣病の予防(食事・運動・禁煙)やこころの健康についてご紹介しました。厚生労働省による「『新・健康生活』のススメ」(外部サイトが開きます)では、さらに「質の良い睡眠・飲酒の知識・健診と検診」が加えられています。
- 質の良い睡眠……自宅で過ごす時間が増え、生活リズムが乱れていませんか?できるだけ毎日決まった時間に起床・就寝することが大切です。就寝前には照明やパソコン・スマートフォンなどの光を避けて環境を整え、十分な睡眠をとりましょう。
- 飲酒の知識……自宅での食事が増えてお酒の飲み方が変化してきました。これをきっかけに、お酒との付き合い方を考えてみましょう。また、睡眠薬代わりの飲酒は睡眠を浅くし、逆効果です!
- 健診と検診……外出を控えるあまり、健診や検診を見送り、生活習慣病になっていた・持病が進行していたという場合があります。定期的に身体の状態を知ることは健康への入口です。
健康についてアンテナを張ってみると、地域には力になってくれる人や場所があることが見えてきます。例えば、住民主体の会や専門機関が主催した会などに参加してみるのはいかがでしょうか。また、具体的な健康上の問題を感じた時には医療機関を、生活や介護の問題を感じた時は行政や介護事業所を頼ってみてください。そうした行動が、あなたの健康を維持・向上させ、そして、他の誰かが健康について考える時の支えにつながります。
『みやっこケアノート』のご紹介
兵庫県西宮市には、地域包括ケアシステムを支えるツールのひとつとして『みやっこケアノート』があります。西宮市民の皆さんが、「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられる」よう、ご本人・ご家族、医療・介護・福祉の専門職が情報を共有するためのノートとして誕生しました。食事・運動・楽しみ・血圧など、日々のセルフケアとその情報共有に役立てることもできます。詳しくは「みやっこケアノートをご存知ですか?」をご覧ください。