知っておきたい!「地域包括ケアシステム」とは〜健康寿命を延ばそう〜
西宮市瓦木在宅療養相談支援センター、所長の松平康子です。
皆さんは「地域包括ケアシステム」という言葉を耳にされたことがありますか?これは、厚生労働省が、地域(市町)に必要だとした、支え合いのシステムです。このシステムの「支え手である〈あなた〉=市民や支援者の皆さん」に、地域包括ケアシステムについて知っていただきたく、私の経験を踏まえながら3回シリーズでご紹介したいと思います。
第1回目の記事では、地域包括ケアシステムの大きな特徴として、「誰もがサポートを受ける当事者であると同時に支え手でもある」ことをお伝えしました(詳しくは「知っておきたい『地域包括ケアシステム』」を参照)。第2回目は、「健康寿命」についてです。地域で暮らす私たちの誰もが当事者・支え手として、長く健康に暮らすための3つのポイントをご紹介します。
健康寿命とは
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のこと。つまり、平均寿命と健康寿命の差は、日常生活に制限のある期間を意味します。
【日常生活に制限のある期間】男性は約9年、女性は約12年(令和2年版厚生労働白書)
この差を縮めて健康に過ごす時間を長くすることは、QOL(生活の質)の維持につながります。平均寿命・健康寿命ともに長い日本は、両者の差が大きい国の1つです。健康寿命を延ばして、いつまでも自分らしく暮らすためのポイントを見ていきましょう。
健康寿命延伸につながる3つのポイント
健康で長生きするための習慣は、小さなことから始められます。以下のポイントを参考に、ご自身の生活を振り返ってみましょう。
(1)生活習慣病の予防を!
厚生労働省では、より多くの国民の生活習慣を改善し、健康寿命を延ばすことを目的とした「スマート・ライフ・プロジェクト」(外部サイトが開きます)を2011年2月に開始しました。生活習慣病予防につながる3つの分野、「運動」「食生活」「禁煙」から具体的にアクションを起こしていくことが推奨されています。
- 運動……毎日プラス10分間の運動習慣をつけましょう
日々の生活に10分間の運動をプラスしましょう。例えば、買い物に行く時や通勤時、苦しくない程度に早歩きしてみる。それだけでも運動量が確保できます。
- 食生活……食べることで健康寿命を延ばしましょう
日本人は1日あたり約280グラムの野菜をとっています。しかし、推奨量は350グラム。あと70グラム不足しています。野菜は温野菜にすると食べやすくなりますから、スープや煮物で上手にとりいれましょう。朝食を抜かずにしっかり食べることも大切です。
- 禁煙……タバコをやめましょう
タバコの煙には70種類以上の有害物質が含まれており、がんや心筋梗塞・脳卒中といったさまざまな疾患のリスクを高めます。また、これらの有害物質は肌にも悪影響を及ぼし、若々しさを損なうことにもつながります。
(2)こころの健康を保ちましょう
社会生活を営むためには、身体の健康だけでなくこころの健康も重要です。こころを健全な状態で維持することも、QOLに大きく影響します。こころの健康においても、先に述べた食事・運動は大切です。
特に高齢者の場合は、就労を含む社会参加や家庭内外の役割を持つことによって、できるだけ活発に暮らすことがポイントです。たとえ病気や障害とともに生活を送ることになったとしても、手段や方法を工夫することで「その人らしい社会参加」はできます(詳しくは「リハビリで実現、あなたらしい社会参加とは」を参照)。
(3)「健康を支え、守るための場」の活用を!
健康な方が多く医療費の支出が少ない地域には、「つながりの強い”良いコミュニティ”がある」と指摘されています。皆さんの地域にも数々のコミュティがあることをご存知でしょうか?
例えば、西宮市内だと健康づくりの場として「西宮いきいき体操」があります。西宮市政ニュースや西宮市社会福祉協議会広報誌『しあわせ』などの情報誌でも、こういったコミュニティの情報が発信されています。ぜひご活用ください。
『みやっこケアノート』のご紹介
兵庫県西宮市には、地域包括ケアシステムを支えるツールのひとつとして『みやっこケアノート』があります。西宮市民の皆さんが、「住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けられる」よう、ご本人・ご家族、医療・介護・福祉の専門職が情報を共有するためのノートとして誕生しました。食事・運動・楽しみ・血圧など、日々のセルフケアとその情報共有に役立てることもできます。詳しくは「みやっこケアノートをご存知ですか?」をご覧ください。
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