デイケアが担うレスパイトケアとは
介護の中でよく使われる「レスパイトケア」という用語(レスパイトと省略されることもあります)。レスパイトケアとは、介護する側への休息支援によって、在宅での介護の限界を防ぐことが大きな目的です。一般的にレスパイトケアからは、次のようなサービスの活用がイメージされるでしょう。
- 訪問介護(時間単位で必要サービスごとに利用)
- ショートステイ(短期入所)
- デイサービス(通所介護)
- デイケア(通所リハビリテーション)
ここでは、デイケアが担うレスパイトケアについてご紹介します。
デイケアが担うレスパイトケアの特徴
デイケアはデイサービスと同様の通所系サービスです(詳しくは「デイケア(通所リハビリテーション)を知っていますか?」を参照)。デイケアもデイサービスも、自宅から離れて過ごすことができるという共通点から「ご家族にとって一時的なレスパイトができる施設」と思われる方が多いかもしれません。決して間違いではありませんが、デイケアは一時的にとどまらない「継続的なレスパイトケアを行うことが可能な施設」です。
デイケアが担うレスパイトケアの大きな特徴は、この継続性にあります。レスパイトケアの基本である休息支援の役割に加え、ご本人の身体能力の向上を図ることで介護量を軽減させ、ご家族(介護者)の負担軽減につなげることができる可能性があります。介護では、ご本人だけでなく介護者となる方の介護量(介護負担感)も大切です。
リハビリテーションマネジメントに基づくレスパイトケア
リハビリテーションマネジメントとは、調査(Survey)、計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Action)の、いわゆるSPDCAサイクルを構築し、利用者さまの心身機能や生活の状況を把握。バランスのよいリハビリテーションが提供できているかを継続的に管理することです。
(詳しくは「デイケアのリハビリテーションマネジメントとは」を参照)
デイケアでは、まずご利用開始時に居宅訪問し、ご家族(介護者)がどの場面で介護負担を感じているか調査します。ご家族(介護者)の「◯◯ができるようになってほしい」という要望から目標を設定し、リハビリテーション計画を立て、計画に基づいたリハビリを行います。
また、定期的に利用者さまとご家族(介護者)、医師、ケアマネジャー、他事業所のスタッフといった多職種が集まり、リハビリテーション会議を実施。会議ではリハビリの進捗状況の共有や日常生活で困っている課題の解決に向けた話し合いを行います。こうした計画の見直しを定期的に行いながら、継続的にリハビリテーションを実施していきます。
このように、利用者さまの目標達成に向けたリハビリの提供だけではなく、ご家族(介護者)の介護負担を軽減し、在宅生活を安心して継続できるよう、サポートすることができます。
デイケアだからできる継続的なレスパイトケア
デイケアは、課題や希望に応じ、ご本人・ご家族(介護者)と一緒に日常生活における目標を立て、リハビリテーションの専門的視点からチームで支援していくサービスです。ご本人・ご家族(介護者)の双方がリハビリサポートを受けることで、ご本人の生活機能、ご家族(介護者)の介護技術向上等につながります。
- 飲み込みが改善し、食事時間が短くなった
- トイレ動作がひとりでもできるようになった
- ベッドへの移乗が楽になった
- リハビリなどの専門家に相談ができ、安心
例えばこうしたリハビリサポートにより、ご家族(介護者)にとっては介護量(介護負担感)の軽減につながります。
一時的にとどまらない継続的なレスパイトケアを重視される場合、デイケアという介護保険サービスの活用は選択肢のひとつになるでしょう。
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