筋肉にとって大切なたんぱく質と必須アミノ酸BCAA
運動やリハビリテーションを行うとエネルギー(カロリー)を消費します。そのまま身体に必要な栄養を補給せずにいると消費エネルギーばかりが増えてしまい、特に高齢の方であれば低栄養(参照:低栄養とフレイルの関係)となってしまうことがあります。低栄養状態では、筋肉量や骨量の低下、免疫力の低下といったさまざまな症状が起きやすくなるため注意が必要です。そこで重要なのは、運動と栄養状態のバランスを切り離さずに考えること。ここでは筋肉にとってとても大切なたんぱく質と必須アミノ酸BCAAについてご紹介します。
たんぱく質とは
糖質、脂質、たんぱく質は三大栄養素と呼ばれています。なかでも、たんぱく質は筋肉や細胞など、人の体を作る源となる大切な栄養素です。たんぱく質が効率よく利用されるために、必要なエネルギー(カロリー)を摂取することを心がけましょう。
体重1kgあたり25kcal〜35kcal(体重50kgの場合、1,250kcal〜1,750kcal)
※運動量や、痩せ・肥満など、個人の状況により異なります
エネルギー(カロリー)が不足すると体の中のたんぱく質が分解され、エネルギー源として利用されます。適切な量を摂取しつづけるために、「1食にしっかり」ではなく「3食まんべんなく」を目標に食べることが大事です。特に、筋肉を作るためには、毎食きちんと摂ることをおすすめします。
たんぱく質は、肉・魚・卵・乳製品・大豆製品といった食品に多く含まれています。毎食のメニューにこうした食品を取り入れるようにするとよいでしょう。ただし、たんぱく質を過剰に摂取すると尿として排泄されることとなり、腎臓に負担がかかります。腎機能低下がある方は、かかりつけ医・栄養士に確認をしてください。
BCAAとは
たんぱく質は20種類のアミノ酸という細かな物質から構成されています。たんぱく質を構成しているアミノ酸のうち、体内で作ることができないものを必須アミノ酸と呼びます。必須アミノ酸は食事を通して摂取することが必要です。
なかでも、運動時の筋肉にとって必要となる必須アミノ酸「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」があります。この3つの必須アミノ酸は枝分かれするような分子構造をしているため、総称しBCAA(Branched Chain Amino Acid)と呼ばれます。BCAAには、筋肉の材料となるたんぱく質の合成を促進し、分解を抑制する働きがあります。
BCAAを多く含む食品には下記表のようなものがあります。また、BCAAを手軽に摂取できるような飲料やサプリメントも各社より販売されています。
食品名 | エネルギー(kcal) | たんぱく質量(g) | BCAA(mg) |
---|---|---|---|
まぐろ赤身(80g) | 100 | 21.1 | 3,600 |
あじ中1尾(90g) | 97 | 16.5 | 2,989 |
鶏むね肉皮なし(80g) | 86 | 17.8 | 2,792 |
鶏もも肉皮なし(80g) | 93 | 15.0 | 2,640 |
高野豆腐1枚(16g) | 85 | 7.9 | 1,568 |
牛乳コップ1杯(200ml) | 138 | 6.8 | 1,380 |
卵1個 | 76 | 6.2 | 1,185 |
納豆1パック(40g) | 78 | 6.6 | 1,156 |
特に高齢の方は運動後30分以内、若い方であれば運動の30分前から運動中に2,000mg摂取することで、BCAAを体内で効率よく作用させることができると言われています。
リハビリテーションや運動を行う上では、エネルギー(カロリー)及びたんぱく質・BCAAを必要量摂ることを意識しましょう。また、摂取のタイミングを逃さないこともポイントです。「運動した後には、牛乳をコップ2杯飲むようにしよう!」など、習慣づけられるとよいですね。