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低栄養に対する介護保険サービスでの支援とは

低栄養とは、エネルギー(カロリー)とたんぱく質が欠乏した状態で、健康な体を維持し活動するために必要な栄養素が不足した状態のことを言います(参照:低栄養とフレイルの関係)。2016年度(平成28年度)の厚生労働省の調査によれば、デイケア(通所リハ)・デイサービス(通所介護)といった通所サービス利用者の38.7%に低栄養の方がいることが分かっています。

 

 

 

高齢になると必要な栄養を身体に取り込みにくくなるため、低栄養状態となってしまうことがあります。低栄養が続くと、筋肉量や筋力の低下・免疫力の低下など、さまざまな症状が起こります。転倒による骨折や肺炎等の感染症にかかりやすくなった結果、食べる力が失われ、いわゆる「寝たきり」につながる恐れもあるため注意が必要です。

 

通所サービスを利用される方にとって重要なのは、リハビリテーションと栄養状態のバランスです。たとえば、「この頃、歩きにくくなった」からといって、改善のための運動やリハビリテーションだけを行うと、運動による消費エネルギーばかり増えてしまいます。結果として、身体に必要な栄養が足りず、低栄養が進行することになってしまうのです。リハビリテーションを行う上では、栄養の状態も同時に改善していくことで、生活機能を早期に向上することができます。

 

こうした低栄養への対策として、口腔栄養スクリーニングという介護保険による支援があります。

 

 

 

口腔栄養スクリーニングで自立支援重度化防止

2021年度(令和3年度)の介護報酬改定にて、「口腔栄養スクリーニング」が開始されました。〈運動〉だけでなく〈栄養状態〉と〈口腔状態〉を定期的に確認し早い段階で課題発見につなげること、そしてこの3つが一体的に提供されることで自立支援重度化予防につながる効果が期待されています。また、〈栄養状態〉〈口腔状態〉に対しても栄養スクリーニング・アセスメントを行うことで、低栄養対策にも効果的です。

 

 

口腔スクリーニングとは

かむ、飲み込むといった口腔機能が低下しているおそれがないか、簡単な項目で把握する取り組みを口腔スクリーニングといいます。

 

  1. 硬いものを避け、柔らかいものばかりを食べている

  2. 入れ歯を使っている

  3. むせやすい

 

この3つのいずれかに該当すると、口腔の健康状態が低下しているおそれがあります。その場合、かかりつけ医やかかりつけ歯科医の受診状況をご本人やご家族に確認し、必要に応じて受診を促します。同時に、介護支援専門員に対して、口腔機能向上サービスの提供を検討するよう依頼します。

 

口腔の健康状態とご本人の栄養状態は、密接に関わっています。例えば、かむ力が弱まって食事摂取量が減ると、必要なエネルギーやたんぱく質などの栄養素が不足し、低栄養のリスクが高まります。口腔状態を早期に確認して適切な管理を行うことにより、口腔機能の重症化予防、維持、回復等につながることが期待されています。

 

 

栄養スクリーニングとは

通所リハや通所介護などのサービスにて、低栄養や低栄養のおそれがあるかを簡単な項目で把握する取り組みが開始されています。これを栄養スクリーニングと言います。

 

  1. BMIが18.5未満

  2. 体重減少率が3%以上

  3. 血清アルブミン値が3.5g/dl以下

  4. 食事摂取量の減少の有無

 

この4つのいずれかに該当すると、「低栄養」もしくは「低栄養のおそれあり」となります。

 

栄養スクリーニングの結果、「低栄養」「低栄養のおそれあり」となった場合、さらに詳しく食事や口腔機能、身体機能や生活に関してもチェックを実施。栄養の支援が必要かどうかを把握します。これを栄養アセスメントと言います。

 

 

栄養アセスメントとは

 

低栄養状態のリスクに加え、摂食・嚥下・食形態の項目、食事の姿勢や、食事中の集中度合い、歯の有無、口の中で食べ物をため込んでしまう、食事中や食後のせき込みやむせなどについて、約30項目を確認します。

 

また、身体機能も栄養状態を反映することがあり、褥瘡(じょくそう)、脱水、感染、発熱、下痢、便秘、浮腫(ふしゅ)、うつ、認知症などについても確認を行います。

 

こうした栄養アセスメントの結果から、低栄養状態にあると分かった場合には、早期に栄養面の改善も行うために栄養相談をおすすめします。

 

 

 

栄養相談を受けることができるサービス

要支援や要介護の状態になっても、できる限り自立した生活が続けていけるためには、身体の状態や生活の活動量に見合った栄養が摂れていることが大切です。近年、介護保険ではこのように生活を総合的に支援する取り組みが増えています。

 

栄養相談を受けることができるサービスには、管理栄養士を配置しているデイケア(通所リハ)や、デイサービス(通所介護)、管理栄養士が居宅に訪問するサービス(居宅療養管理指導)があります。

 

 

口腔栄養スクリーニングについては、西宮協立デイケアセンターの専門職向け広報誌『ほほえみ通信ぷらす(PDFが開きます)』でもご紹介しています。

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