廃用症候群や急性増悪による生活機能低下に効果的~生活行為向上リハビリテーション~
デイケア(通所リハビリテーション)には、生活行為向上リハビリテーションという仕組みがあります。
対象となるのは、加齢や廃用症候群、急性増悪により生活機能が低下した方。生活行為の向上に向けて、デイケアでの練習だけでなく居宅訪問を組み合わせることで、実際の生活場面を定期的に評価しながら6ヶ月を上限としリハビリテーションを行います。
令和3年度(2021年度)の介護報酬改定では内容が大きく変更され、さらに効果的に活用しやすくなりました。この記事では、生活行為向上リハビリテーションの詳しい内容や活用例をご紹介します。
生活行為向上リハビリテーションについて
- 生活行為とは
排泄や入浴といった身の回りの動作だけでなく、調理、買い物、趣味活動、復職など生活全般の行為のことをいいます。
- 対象となる方
加齢や廃用症候群、病気の進行やけがによる症状悪化(急性増悪)などが原因で生活機能が低下した方。生活行為の向上について具体的な目標を持ち、その達成を目指している方が対象です。
- 単位数
要支援:1ヶ月あたり562単位(事業所評価加算との併用不可)
要介護:1ヶ月あたり1250単位
- 実施期間
開始から最長で6ヶ月間
実施の流れ
目標とする生活に向けて、専門的な知識・経験を有する作業療法士、または生活行為向上リハビリテーション研修を修了した理学療法士・言語聴覚士がプログラムを作成。個別のリハビリテーションや通所リハ内での生活リハビリテーションに加え、月に1回以上、ご自宅や外出先といった実際の生活の場を訪問して生活動作の確認を行います。
- 生活行為の聞き取り
- 目標の設定
- 専門のスタッフとプログラムの作成
- デイケアでの基本練習や目標に沿った実践練習を行う
- 月に1回以上の居宅訪問を実施、実際の生活動作を評価しデイケアでの練習や生活の場での自主練習に反映
- 役割作り
- 通所介護
- 地域活動(通いの場やサロン、カルチャー教室など)
居宅訪問の頻度は?何をするの?
リハビリテーション専門職が月に1回以上訪問します。まずは、目標とする生活行為が、「実際の生活でどの程度行えているのか」「一連の行為のどの部分が支障となってうまくできていないのか」という評価を行います。その後は、達成度の確認や現在の動作能力に合わせた動作指導の他、通所リハで獲得した生活行為が居宅でも達成できるように、具体的な実践を通した評価等を行っていきます。
こんな方におすすめです
- 少し体調を崩して寝込んでいたら自宅で転ぶようになった
入院を伴わない急な体調の悪化や不活動による生活機能の低下にも対応。専門職が立案する生活行為向上計画に基づいたリハビリテーションで早期の回復を目指します。
- 閉じこもりがちになっていたら体力が落ちて買い物に出られなくなった
おおむね月に1回以上、専門職の居宅訪問を受けられます。家事や外出、公共交通機関の利用など実際の生活場面で、デイケアでのリハビリテーションの成果を試すことが可能です。
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