生活期リハビリテーションの大事さ(3)~生活期リハビリテーションの内容と卒業~
「生活期リハビリテーションの大事さ(2)~急性期から回復期、そして生活期へ~」では、病気の発症やけがをした後のリハビリテーションの流れについてご紹介しました。この記事では生活期のリハビリテーション(以下、リハビリ)の具体的な内容と、生活期リハビリからの卒業についてご紹介します。
1.生活期リハビリで行うこと
- まずは、退院直後の「生活混乱期」をサポート
生活期の最初は、病院から自宅へと環境が大きく変わることで問題が起こりやすく、「生活混乱期」とも呼ばれます。こうした「生活混乱期」をサポートするしくみが生活期リハビリです。
※生活混乱期におけるリハビリの重要性についてはこちらの記事(「生活期リハビリテーションの大事さ~退院後も途切れないリハビリを!~」)をご参照ください。
- 「〇〇できるようになりたい!」という生活目標の達成をサポート
生活期に入ると心身機能の回復するスピードは緩やかになり、場合によっては運動まひや高次脳機能障害、痛み、関節拘縮(関節の動きが制限される状態)などの後遺症が残るケースもあります。生活期リハビリでは、その人の能力に応じた方法で歩行練習、トイレ動作、入浴動作など、日常生活動作の練習を実施。必要に応じて手すりや自助具などの福祉用具を提案しながら、「◯◯できるようになりたい!」という生活目標の達成をサポートしていきます。
もちろん、生活目標は一人ひとり異なります。まずは、利用者さまと専門職とが、生活における今の困りごとや今後の希望について意志を共有。具体的な生活目標を立て、期間を決めて取り組むことが生活期リハビリで重要なポイントです。
- 病気やけがの再発を予防できるよう、自己管理をサポート
「手に力が入りにくくて調理が不安」「ひとりで電車に乗れるか不安」など、病気やけがによって、以前はできていた家事や外出への自信がなくなると、自宅に閉じこもりがちになります。そうすると身体を動かさなくなり、体力が落ちて病気やけがを再発してしまう、という悪循環を起こします。生活期リハビリでは、活動的な生活習慣を身につけ、再発予防のための体調管理や自主トレーニングができるようにサポートします。
2.生活期リハビリからの卒業
その人の能力を最大限活用して日常生活が送れるようになり、体調管理や自主トレーニングができるようになれば、生活期リハビリからは卒業の時期です。生活期リハビリを卒業してからも元気に暮らしていけるよう、例えば以下のように活動の範囲を広げていくことが大切です。
- デイサービス
- 家庭の役割(炊事、買い物、洗濯など)
- 地域の活動の場
- 友人との交流
- 復職
日常生活を送りながら、家庭内でご自身の役割を持ち、社会との交流をつづけていけるよう取り組みましょう。
生活期リハビリを卒業してからも、体調を崩した際や転倒への不安から引きこもりがちな生活になるなど、再発の可能性がある場合は再開することが可能です。主治医やケアマネジャーに相談してみましょう。
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