生活期リハビリテーションの大事さ〜退院後も途切れないリハビリを!〜
大きな病気やけがにより入院すると、専門治療を受けた後、退院に向けたリハビリテーション(以下リハビリ)を行います。ところが、ようやく退院の日を迎えても、しばらくたつと「入院中はできていたのに……」という声をよく聞くようになります。退院後の生活によっては、こうした事態が起こりえるのです。いったいなぜでしょうか?
西宮協立デイケアセンターの例も交えつつ、「退院後も途切れないリハビリテーション」の重要性についてご紹介します。
1.退院後リハビリはどうして大事?
- 生活混乱期について
退院直後は環境の変化が大きいことから「生活混乱期」といわれます。入院中は設備の整った病院で毎日リハビリをつづけていたものの、退院すると自宅では何もしなくなってしまうケースや、環境の変化に適応できず、だんだんと閉じこもりがちになることも珍しくありません。この生活混乱期をうまく乗り切らないと、日に日にからだの機能が低下し、入院中にはできたことが再び困難となってしまう場合があるのです。
- 生活期リハビリについて
こうした生活混乱期をサポートするしくみに、「生活期リハビリ」があります。
生活期リハビリは主に介護保険のサービスです。自宅へ訪問し、生活の場で実施する「訪問リハビリ」や、設備の整った施設に通って実施する「通所リハビリ(デイケア)」などがあります。
以下では、通所リハビリと訪問リハビリ、2つの介護保険サービスを備えた西宮協立デイケアセンターを例に、退院後の生活を支える生活期リハビリの取り組みを紹介します。
2.退院前から退院後を考える
西宮協立デイケアセンターでは、退院前に相談があれば積極的に入院先へうかがい、退院に向けた話し合いの場に参加しています。病院スタッフと直接話し、入院中のリハビリ内容や自宅生活での注意点などを共有することで、退院後に途切れなく効果的なリハビリを行うことができます。
また、病院スタッフによる退院前の居宅訪問に同行し、環境調整や自宅での動作確認を行うこともあります。「手すりやベッドなど福祉用具が必要か」、「退院後に自宅のトイレや浴室を使用できるか」など、病院スタッフと一緒に確認。退院後にどのようなリハビリが必要かを話し合います。
3.日々の生活につながるリハビリ
生活期リハビリでは、一人ひとりの日々の生活につながるプログラムを実施しています。
- 通所リハビリ(デイケア)について
通所リハビリ( デイケア) の利用が決まれば、退院後できるだけ早くご自宅を訪問し、生活状況や環境の確認を行います。
退院前に想定していた生活が問題なくできているか、ご本人の動作を見たうえで、福祉用具や手すりの提案、介助方法の助言などを行います。
- 訪問リハビリについて
訪問リハビリでは、退院直後から生活の場である自宅で入浴やトイレ動作、家事動作など、より実践的な練習をします。また、買い物や電車での遠出など、外出練習を行うこともできます。
西宮協立デイケアセンターの例はこちらの記事(「デイケア(通所)」と「訪問」2つのリハビリテーション)をご参照ください。
4.健康で笑顔あふれる生活を
「早く退院して自宅に戻りたい!」と思いつつ、その後の生活に不安を抱える方も多いと思います。リハビリは退院してからが本当のスタートです。退院後も途切れることなく生活期リハビリをご利用いただくことで安心してそのスタートを迎えることができます。訪問リハビリと通所リハビリはその大きな選択肢のひとつと言えるでしょう。
( 2020.8発行│広報誌「甲友会ナウ」vol.50より)
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