筋力の衰えは足腰から!〜家でもできる運動〜
新型コロナウィルスが猛威を振るうなか、家のなかで過ごす時間が長くなっています。こうした状況で心配されるのが、動く機会が減ったことによる身体の衰え。また元気よく外出ができるように、家のなかでもできる運動に取り組んでみましょう。今回は「筋力の衰え」についてお話しします。
筋力の衰えは足腰から!
約4,000人の日本人を対象に、年齢による筋肉量の変化を調べた研究があります。報告によれば、20歳を過ぎると脚の筋肉量は、腕や胴体の筋肉量よりも早く、大きく減少するそうです。一般的に、筋肉量は25歳くらいでピークを迎え、その後、加齢により減少。60歳には25歳時の約60%まで落ちるとのこと。なかでも、大腿四頭筋(ダイタイシトウキン:太ももの前の筋肉)の筋肉量が一番落ちやすいと報告されています。この研究によれば、「筋力の衰えは足腰から」は本当だと言えるでしょう。
大腿四頭筋を鍛えよう!
「運動したくても家のなかではね……」「家に運動器具がないからむずかしい!」という声をよく耳にしますが、そんなことはありません。屋外でなくとも、特別な運動器具がなくても、足腰の筋肉の衰えを防ぐ方法はあります。
「10回の立ち座り⇔1分間の休憩」を3セット
大腿四頭筋を手っ取り早く鍛えるためには、「立ち上がること、そしてゆっくり座ること」が有効です。いつも座りなれている椅子に少し浅く腰かけ、立ち座りをくりかえしてみましょう。
膝や腰に痛みがなければ、10回の反復を目指しましょう。
楽にできるようであれば、1分間の休憩後にふたたび10回の立ち座りを行います。「10回の立ち座り⇔1分間の休憩」を1セットとし、最大3セットまで繰り返すことができたら十分です。
片脚を上げたまま、慣れるまではテーブルなどにつかまって
余裕がある方は、「片脚での立ち座り」を行ってみましょう。ただし、片脚での運動は危険を伴いますので、慣れるまでは写真のようにテーブルにつかまるなど、十分に安全に配慮した上で行ってくださいね。
急に外出の機会が増えると、転倒のリスクも高まることが予測されます。こうした運動で継続的に足腰を鍛え、時期が来れば、ふたたび安心して外出し、ストレスを発散していただきたいと思います。
【参考文献】
・谷本芳美 他(2010)「日本老年医学会雑誌」47巻52-57頁 一般社団法人日本老年医学会
・越智隆弘(2007)『最新整形外科学大系(23)スポーツ傷害』中山書店