デイケアが行う居宅訪問とは
デイケア(通所リハビリテーション)には居宅訪問という仕組みがあります。
デイケアでは、通所された利用者さまの様子のみをチェックしているわけでなく、居宅訪問を通し、ご自宅での様子や環境も確認します。実際の生活の場面を知ってこそ、利用者さまの「◯◯できるようになりたい!」という目標に、より適したリハビリテーションの提供が可能となります。
ここでは、リハビリテーションマネジメントの1つである居宅訪問についてご紹介します。
居宅訪問とは
デイケアを利用される方の、現在の身体能力を見極めるため、リハビリテーション専門職が利用者さまのご自宅を訪問。ご自宅での生活状況や環境を確認します。これがデイケアの行う居宅訪問です。
【生活状況や環境の例】
- 生活を支援してくれる人(介護者)はいるか
- 日常はどこで過ごしているか
- つまづくような段差はないか
- 浴槽の出入りに支障はないか
- トイレ動作に不自由はないか
- 装具は自身で付けることができるか
- 台所動作に不便はないか
実際の生活場面を検証することで、より効果的なリハビリメニューの検討が可能となります。
居宅訪問のタイミング
- 初めて通所をご利用される方
ご利用開始の1月前後に必ず居宅訪問をします。
- 通所リハを継続して利用されている方
「引っ越しをした」「生活する場所(居室)が変わった」「最近転倒がつづいている」など、生活状況や環境が変わった方にも訪問することができます。確認後、必要に応じて福祉用具の提案や介助方法の助言を行います。
福祉用具の提案
ベッドや手すりの位置、自宅内や屋外を歩く際の杖・歩行器等の必要性を評価。ご自宅の状況を踏まえ、利用者さまお一人おひとりに適した福祉用具を、担当ケアマネジャーや福祉用具専門員に相談します。
居宅訪問時にリハビリはできる?
居宅訪問時にはリハビリテーションは行いません。生活環境に応じた日常生活の留意点や介護の工夫といった情報について、助言・指導のみを行います。
日常生活動作の評価を通して、通所リハビリテーション計画・リハビリメニューの作成につなげます。ご自宅での継続したリハビリが必要な場合は、訪問リハビリテーション等のサービスをご提案します。
居宅訪問後のリハビリテーション
居宅訪問で得た情報をデイケアでのリハビリテーションに反映します。
例えば、自宅にエレベーターがなく、階段での出入りが必要な住居であれば階段昇降の練習を。浴槽の出入りがしにくい方であれば、またぐ動作の練習を。包丁が使いにくいなど調理ができない場合は握力をつける運動や動きの練習を実施……などなど、リハビリメニューの中に取り入れてサポートします。
練習して改善が見られれば、再度、居宅訪問を行います。実用的であること、安全にできることなどを確認し、日々の生活につなげていきます。
活動範囲が広がったとき
デイケアでのリハビリが進み、「買い物に行きたい!」「電車やバスに乗りたい!」と新たな目標ができた時も居宅訪問のタイミングです。
例えば買い物では、スーパーまで移動できるか、買いたいものを見つけられるか、お金を払うことができるか等を実際に同行して確認し、課題があればデイケアで引き続き練習します。電車やバスの利用についても同行が可能です。
(2019年3月発行│ほほえみ通信ぷらすvol.4・2022年1月発行│ほほえみ通信ぷらすvol.15より)
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