低栄養とフレイルの関係
厚生労働省の「平成28年国民生活基礎調査」によれば、要支援・要介護の原因は、「高齢による虚弱」「認知症」「骨折・転倒」など高齢に伴う要因が約50%占めています。
その割合は、脳血管疾患など、生活習慣の要因よりも多いという状況です。中でも、要介護の前段階と言われる「高齢による虚弱=フレイル」は近年注目されており、低栄養が強く関連していることが分かっています。
放っておくとこわい? 低栄養とは
低栄養とは、エネルギー(カロリー)とたんぱく質が欠乏した状態。つまり、健康な体を維持し活動するために必要な栄養素が不足した状態を指します。
「今どき低栄養なんて…… 」「私には関係ない」と思っていませんか?
「最近痩せてきた」「食欲がない」は低栄養のサインです。そのまま放っておくと、筋肉量や筋力の低下、骨量の低下、免疫力の低下、認知機能の低下という色々な症状が起きやすくなります。転倒による骨折や肺炎等の感染症にかかりやすくなった結果、食べる力が失われ、「寝たきり=要介護状態」につながる恐れもあるのです。
低栄養とフレイルの関係について
フレイルは、「加齢により体が弱った状態=虚弱」のことです。さまざまな機能変化や予備能力(体の各機能の最大の能力と、通常使っている能力の差を指す)低下によって重篤な健康問題を起こしやすい状態であり、上の図が示す通り、健康な高齢者と要支援・要介護高齢者の中間段階です。
フレイルの要因の一つが低栄養です。「低栄養→筋力・身体機能の低下→活動量の低下→食欲の低下……」という悪循環がフレイルの進行につながります。
ただし、フレイルは寝たきりや要介護の一歩手前の状態です。適切に栄養を摂り・活動をすることで要支援・要介護の予防が可能と言われています。
( 2019.08発行│広報誌「甲友会ナウ」vol.46より)